- コーンスターチなしのラムネ作製時に粉が塊になってしまったのは、コーンスターチの湿気防止作用がなくなってしまったためではないか
- コーンスターチありでは崩壊までの時間が短くなったため、コーンスターチは崩壊剤としての役割を持っていると考えられる
- コーンスターチが崩壊剤としての役割を果たすのは「糊化」によるためではないか
- 今回のサイズでは大きさを2倍にしたところラムネが崩壊するまでの時間の相対標準偏差は大きくなったため、ばらつきの程度としては差があった
- ただし、個々の結果を見ると大きな差は見られないため、この実験系では相対標準偏差の差はそこまで気にする指標ではないと考えられる
「素朴な研究」の第3回、「コーンスターチの崩壊剤としての役割を素朴な材料で体験してみよう」の考察です。
実験の結果の詳細は別のページに記載しておりますので、そちらをご覧ください。
では、今回は前回のページで記載した結果を基に私の考えを考察としてまとめていきたいと思います。
コーンスターチなしのラムネ作製時に塊ができたのはなぜか?
まずはコーンスターチなしのラムネ作製時に塊ができやすかったことについて触れていきたいと思います。
コーンスターチなしのラムネでは、コーンスターチをなくした分、粉砂糖を増やしてラムネを作りました。
レシピ案はこちらのページに記載しています。
この時にコーンスターチなしのラムネ作りではレモン汁や水といった液体を粉砂糖に加えた後塊が多くできて、これは最後の重曹を加えた後まで減ることがありませんでした。
スプーンの背でつぶしながら混ぜているので塊の大きさとしては小さいものが多いですが、全体的に塊が見られますね。
では、なぜコーンスターチがないと塊ができやすくなってしまうのか?
私は粉砂糖の吸湿性とコーンスターチの吸湿防止作用が原因ではないかと考えています。
『粉砂糖の違いを比較 純粉糖 コーンスターチ オリゴ糖入り プードルデコールの使い道』(2024年8月31日閲覧)
https://atelier-s-liaison.com/powderedsugar/
純度100%の粉砂糖は吸湿性が高く、水にもきれいに溶けてしまいます。
今回の場合、吸湿防止作用を持つコーンスターチを入れなかったことにより粉砂糖が必要以上に水分を吸湿してしまったため塊ができやすくなったのではないかと考えています。
また、2つの計量スプーンでラムネを整形する際にも型外れが悪くラムネが真っ二つに割れてしまうということがありました。
これも粉砂糖が必要以上に吸湿してしまったことにより全体がベトベトして型から外れにくくなってしまったことが原因ではないかと考えています。
型から外れにくくなってしまったことにより、接着力が1番弱いつまようじの付近で真っ二つになってしまったのではないかと思います。
ちなみに、余ったものでコーンスターチ、つまようじなしのラムネを作ってみたところ、多少型離れは悪かったものの整形は割と簡単にできたので「つまようじが入っている」ということがラムネが真っ二つに割れる原因として大きな割合を占めそうです。
コーンスターチの崩壊剤としての役割
では、今回の実験のメインであるコーンスターチの崩壊剤としての役割はどうだったのか?
結果のページでも示しましたが、コーンスターチがあった方がラムネの崩壊にかかるまでの時間の平均が約50秒も短くなり、統計的にも意味がある差であるということが言えました。
このことからコーンスターチは崩壊剤としての役割を持つことが示唆されました。
では、コーンスターチはなぜ崩壊剤としてはたらくのか?
私はコーンスターチの「糊化」という特徴が崩壊剤としてはたらく上で重要になっているのではないかと考えています。
『コーンスターチの特性と新加工・利用技術-農畜産業振興機構』(2024年8月31日閲覧)
https://www.alic.go.jp/joho-d/joho08_200805-01.html『加工でん粉の食品における役割-農畜産業振興機構』(2024年8月31日閲覧)
https://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_002286.html
「糊化」とはでん粉がある温度以上になると水を吸い始めて膨らみ、その後崩壊して分散していく…という特性のようです。
コーンスターチはトウモロコシのでん粉です。
なので、
- ぬるま湯に入れたことによりある温度以上になって周りの水を吸い始める
- コーンスターチが膨らむ
- ラムネの形が崩れる
ということが起こっていたのではないか…と考えられます。
コーンスターチが水分を吸って膨らむことで崩壊剤としての役割を果たす可能性があると私は考えています。
ちなみに、今回の実験ではぬるま湯にラムネを投入しているので「ぬるま湯に入れたことによりある温度以上になって」と記載しておりますが、前の実験で「冷蔵庫で冷やした水にラムネを入れてもそれほど崩壊までの時間に差はなかった」という結果もあります。
このことから、コーンスターチが吸水を始めるのに必要なある温度、すなわち崩壊剤として機能するための温度は結構低いのでは…?ということが推測できます。
ラムネの大きさによる崩壊時間の変化
最後にラムネの大きさによる崩壊時間の変化についてです。
結果から言うと、ラムネの体積を2倍にしても崩壊までにかかる平均時間は約2秒ほどしか変わらず、統計的にも差は確認できませんでした。
ただし、ラムネを大きくした実験では相対標準偏差が約2倍になっています。
このことから、今回の大きさの範囲ではラムネのサイズを2倍にしても大きな影響はないと言えそうです。
相対標準偏差はサイズが大きい方が大きくなってしまいましたが、3回の実験それぞれの測定時間の実測値を見ると実測値も値も似たような挙動を示していたので、相対標準偏差の値はこの実験系ではあまりあてにならないのかな…?と私は考えています。
まとめ
いかがだったでしょうか?
- コーンスターチの吸湿防止作用により粉砂糖が塊になるのを防いでくれている
- ぬるま湯に入れるとコーンスターチが膨らみラムネの崩壊を促している可能性がある
- 今回の範囲ではラムネの大きさはあまり関係がない
このようなことが今回の実験から考えられました。
では、次回は今回の背景~考察までの流れを1つの記事にまとめていきたいと思います。