- 崩壊剤は錠剤を崩壊・分散させるために必要なもの
- コーンスターチは崩壊剤としての用途を持っている
- 身近なものでコーンスターチが崩壊剤として使われる例を確かめられないだろうか…?
崩壊剤の役割とは?
皆さんは崩壊剤という言葉を聞いたことがありますか?
崩壊剤は錠剤を崩壊させ、有効成分を分散させるために薬の中に添加物として入れられるものです。
…と言っても何だかイメージしにくくないですか?
というわけで崩壊剤の役割をイメージ図にしてみました!
錠剤を作る時には、有効成分の他にも賦形剤や滑沢剤などの添加物が使われます。
…が、ここでは分かりやすくイメージするために有効成分だけのことを考えます。
皆さんは下の図のAとBではどちらの方が体に取り込まれやすそうだと思いますか?
イメージ図では小腸での吸収をイメージしています!
どうでしょう…?
何となくですが塊のAよりもバラバラに散らばっているBの方が体に取り込まれやすそうではないでしょうか?
実際、一部の例を除いて、有効成分がバラバラに散らばっている方が体に取り込まれやすいです。
このように錠剤のような塊に含まれている有効成分を
バラバラに散らばるように手助けをしてくれるのが崩壊剤の役割です!
では、どのようにしたら崩壊剤の役割を身近なもので研究することができるでしょうか?
崩壊剤にはどのようなものがあるの?
ここまでで崩壊剤の役割については何となくイメージしていただけたかと思います。
では、実際に崩壊剤としてどのようなものが用いられているのでしょうか?
代表的な崩壊剤としては、このようなものがあります。
- 低置換度ヒドロキシプロピルセルロース
- カルメロースカルシウム
- クロスカルメロースナトリウム
…いや、知らんがな!って感じです。
頭が痛くなってきそうですよね…。
というわけで他に崩壊剤としての役割を持つもので、もっと素朴な材料はないか探してみました。
その結果、行きついた報告がこちらです。
三宅由子ほか. (2011) “口腔内速崩壊錠の製剤設計―崩壊剤のスクリーニング―” p. 2. (2024年7月22日閲覧)
http://www.pref.mie.lg.jp/common/content/000171996.pdf
表1で紹介されている崩壊剤の種類の中に「トウモロコシデンプン」が…!
「トウモロコシデンプン」は「コーンスターチ」としてスーパーマーケットなどに売っている材料なのでコレは使えそうですね!
コーンスターチって?
コーンスターチって何なんでしょう?
コーンスターチは先ほど書いた通りトウモロコシからとれるデンプンです。
デンプンは光合成によって作られる炭水化物です。
なので、コーンスターチはトウモロコシで作られるエネルギー源の1つと言えると思います。
コーンスターチは、医薬品の世界では賦形剤(少ない量の有効成分だけだと調剤しにくかったり、飲みにくかったりするため、全体の量を増やすために加える添加剤)として使われることが多いです。
日常生活においては、料理やお菓子作りでとろみをつけたり、サクッとした触感を出したりすることに使われています。
片栗粉と似たような働きをする…と思っていただけば分かりやすいでしょうか?
料理やお菓子作りにも使用するものなので、食用のグレードであればスーパーマーケットで手に入れることができます。
つまり、スーパーマーケットに行けて、お金さえあれば簡単に買うことができます!
まさに素朴な材料ですね。
先ほど書いた通り、コーンスターチは崩壊剤としての役割も持っているので、今回はコーンスターチを用いて崩壊性の例を素朴なもので体験することができるかを研究していきましょう!
では、どのようにしてコーンスターチで崩壊性を体験するための研究をするか。
これは次回、「方法」で考えていきましょう。
まとめ
今回の研究の背景をまとめるとこのようになりそうです。
- 医薬品には有効成分を体に取り込みやすくするために崩壊剤が使われることがある
- 料理などに使われるコーンスターチは崩壊剤としても使われる
- 身近で手に入れられるコーンスターチを用いて崩壊性を体験できないだろうか…?
…というわけで次回はこの疑問を解決するための「方法」を考えていきたいと思います。